弁護士1年目より相続アドバイザー協議会認定会員として、士業と連携を図りながら相続案件などに従事してきた松村 茉里さんは、2020年にはアオ法律事務所を開設し、生前対策、事業継承をメインに取り組む弁護士として活躍されています。相続アドバイザー協議会の養成講座の学びがどのように活かされているかお話を伺いました。

アオ法律事務所 代表弁護士 松村 茉里さん写真1

お客様と信頼関係を築き、困りごとに対してどう導いていくか、弁護士の域を超えたアドバイス力が大切です。養成講座でそのための多くのことを学びました。

アオ法律事務所 代表弁護士
松村 茉里さん(第二東京弁護士会所属)
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仕事の信条の礎となった養成講座での学び

大学では法学を専攻、自身が法曹の道に適しているかを模索しながら法科大学院に学んだという松村さん。コミュニケーション能力の高い弁護士が必要とされていることや、リーダーシップに長けた松村さんを知る周囲の人たちの「弁護士が適しているのでは」という声も背中を押し、司法試験では見事に一発合格。弁護士として歩み始めます。

法律事務所に就職して間もなくのこと、「若いので何か専門性を身に付けないと、お客様との信頼関係を築くのは難しい」と考えたそう。そこで、女性ならではの目線も活かせる家事事件の「相続」や「離婚」の中でも、数字が得意なことなどから「相続」に着目し、相続アドバイザー協議会の養成講座を受講することに決めたのだとか。

実際に講座を受けての感想について伺うと、それまで学校で勉強してきたのは民法が中心で、税金や不動産、登記についての知識はほぼ素人に近かったそうですが、それぞれの業種の役割を駆使し、連携させることで良い相続ができることを学べたのはとても良い刺激となり、勉強になったといいます。

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お客様が困っていることがどの分野かを知ることで、どの業種の方に紹介すればよいか、また、どのように道筋をつけて導いてゆけばよいかというアドバイスができることは、受講をする前と後で大きく違ったことだそう。「受講していなければ出てこなかったお客様への言葉がすごくたくさんあると思います。弁護士の域でのアドバイスしかできなかったかもしれません。お客様に寄り添い、信頼関係を築くことの大切さも学びました」と仕事の質や進め方に影響を与えていると話してくれました。

また、講座の中でも特に印象に残っているのは、野口賢次先生の最初の授業での「相続は争うということではなく、円満に解決すべきもの」という教え。そのためにどう自身が知識を付けて導いていくかの重要性を知ったことは仕事にも大きく影響しているそうです。ていねいな対応、細心の注意を払い、紛争を避け解決していくという精神は今の仕事にも息づいているのだとか。

人との繋がりから仕事へのチャンスも広がる

松村さんは相続アドバイザー養成講座23期でしたが、士業、保険、不動産の専門家などの同期生で集まり、「家族で話す HAPPY相続(プラチナ出版)」という書籍を共著しました。このことで、相続を多く取り扱っている弁護士としての認知が高まり、仕事でも良い影響を得ることができたそうです。
そして何よりも、本を出版するまでに同期の方と何度も会ってコミュニケーションを重ねたというプロセスの中で、信頼関係がさらに深まり、お客様を紹介し合うなど、今に繋がる関係性が築けたことが良かったことだといいます。
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また、松村さんはこれまでに不動産関係のセミナーで相続の紛争性や遺産分割をテーマにした講演や、税理士の勉強会などで、民法の改正について登壇する機会も多く、その数は200回を超えているとのこと。
「講師デビューをさせていただいたのも相続アドバイザー協議会でした。そこから講師の依頼が続いていったり、受講された方から案件をご紹介いただいたりと、このご縁にはとても感謝しています」と松村さん。
養成講座を受けたことで、知識にとどまらず人との繋がりも生まれ、さらには情報を発信する側としての機会も増えたのだそうです。

プラスαの価値がそこにある

最後に、相続アドバイザー協議会を受講しようか迷っている方へのメッセージを伺ってみました。

「自分も実感しましたが、社会人になってから勉強時間をとるのは本当に難しいです。ですが『だからこその勉強』。費用が高いと思われる方もいるかもしれませんが、講師の方や受講生との関係性を築けるという面でもプラスαの価値を見出せるかと思います。
また、弁護士は今人数が増えていますが、相続を専門にしている方はまだまだ少ないので良い分野ではないでしょうか。」

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また、相続を対応する上で、士業の方をはじめ、いろいろな方と仕事をする機会が多い中、講座で各業界の方々の特徴を事前に知ることで、いざ一緒に仕事をする際にスムーズに運ぶ面が多いとも。営業の方の話し方、自己紹介の仕方、名刺の渡し方一つから学ぶことも多く、仕事のクオリティも一段階上がるということや、交流によって聞きにくいことも気軽に相談できるようになるのもメリットだと松村さんはいいます。

「紛争を知っているからこそ、紛争にさせないための法律知識を駆使したい」という強い想いを持ち、生前対策や事業継承をメインに仕事を始めた松村さん。
「独立が果たせたのも、相続アドバイザーの方々がいたからこそ。これからもご縁で繋がった皆さんがいろいろなアドバイスをしてくださるのではないかと思うと心強いです」と語ってくれました。

松村 茉里さん

アオ法律事務所 代表弁護士

http://ao-law.org/profile/

法科大学院卒業後、司法試験に合格。司法修習を経て、大手法律事務所にて相続部門のマネージャーを担当。2020年にアオ法律事務所を開設する。相続の生前対策、事業継承をメイン業務とし、「紛争を知るからこそ、紛争にさせないための法律知識」を持ってコミュニケーションに重きを置き、業務に取り組む。ほか、多数のセミナー講演でも活躍。