「ファイナンシャルプランナーで不動産取引実務経験のある社会福祉士」という多彩かつ個性的な肩書きを持ち、オフィスBAN(伴行恵社会福祉士事務所)の代表として高齢者の支援業務に携わっている伴 行恵さん。相続アドバイザー協議会の養成講座での学びや経験が仕事の中でどのように活かされているかについてお話を伺いました。

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相続とは直接関係しない案件を引き受けた後でも、きちんと相続のことまで見据えてサポートできることが強みです。

オフィスBAN(伴行恵社会福祉士事務所)代表
伴 行恵さん
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経験を活かしつつ、さらに仕事に活用できる武器を求めて

新卒で不動産デベロッパーに入社、約10年間の勤務を経て、5年ほどは専業主婦に。その後、育児と仕事の両立を図りながら、不動産関連のベンチャー企業数社で不動産に関する様々なスキルを重ねた伴さん。50代を目前にして「このまま年齢を重ねたら何も残らない、自分がやって来た不動産業務のノウハウや、女性営業職としての経験を生かして何ができるか」と思考を巡らせて浮かんだのは「不動産と相続」でした。

デベロッパー勤務時代に取得した宅地建物取引士の資格の他にも、不動産ベンチャー企業勤務時代にはファイナンシャルプランナーの勉強もしていました。しかし伴さんは「今までの経験を無駄にしたくない」と考えていました。

そんな矢先のこと、野口塾を主宰する野口賢次先生と知り合い、「不動産の実務と知識を生かし、相続を学び、地域の力になりたい」と話をしたのが、野口塾で相続の勉強をするきっかけとなり、その流れで相続アドバイザー協議会の養成講座も受講することになったのだそう。

学びの全てが新鮮に感じた養成講座

実際に講座を受けてみての感想を聞いてみたところ、「講師の先生方がとても高レベルなので神のように見えました」と伴さん。「講師の先生方は士業の方が多く、相続の知識に長けている専門家。戸籍の読み方一つにしても、相続に特化した士業の先生の説明は違うなと思いました。学びは深く、ついていくことに必死でした」。
奥深い知識を持った先生方が多く、学びの全てが新鮮に感じたと伴さんは当時を振り返ります。
相続の仕事をするための「はじめの一歩」としての心構えを学ぶことができたこと、また、受講生も皆真面目で熱心な方が多く刺激になったこと、講師の先生や同期との名刺交換などで人脈の輪が広がったことなどは、養成講座を受講しての財産だといいます。

また、野口塾で学び始めた頃、前々から気になっていた社会福祉士の資格取得を勧めてくれたメンバーの後押しもあり、受験に挑戦。ストレートに合格とはいえ、受験資格を得るための専門学校に通い、レポート提出に明け暮れ、スクーリングや実習にも出向くなど3年の月日を使って合格を果たしたのだそう。この努力を経て伴さんはさらに仕事に活かせる武器を手に入れました。

人生の先を見据えてトータルでサポートできるのが「強み」

こうして伴さんは「ファイナンシャルプランナーで不動産取引実務経験のある社会福祉士」の肩書きを得て活動の幅を広げていきました。
その肩書きから、高齢者の抱える問題解決のノウハウを持っている人というイメージをすぐに抱いてもらえるようになったそうです。

仕事では、ケアマネジャーや地域包括センター、介護ヘルパーなど、福祉業界からの依頼が多く、最近では介護施設への入居支援などの生活支援から不動産売却アドバイスが必要な方、生活に問題を抱えている方、また、配偶者が亡くなった高齢の方などの相続手続きや役所の手続きなどの案件が増えているそうです。相続とは直接関係しない案件を引き受けた後でも、きちんと相続のことまで見据えてサポートできることが伴さんの強み。
「最初は高齢の方が亡くなったので役所の手続きに代わりに行ってほしいと依頼されたのですが、蓋を開けてみるとものすごく大変な問題を抱えていたり、また最終的には自宅の売却までをサポートしたりすることもあります」と伴さん。

「人の人生は福祉や介護など、その瞬間の問題だけではなくて、亡くなった時この家をどうする?子どもがいないけどどうする?など多くの要素で繋がっています。私の場合、『相続が発生したら、こういう事が起こりうるので、今のうちにこうしておいた方が良いですよ』とご提案しています。とはいえ、トータルで物事を見ることができる人は世の中にはまだまだ少ないと感じています。その方の心配事や問題をその人の立場になってイメージしながら、道先案内人のような気持ちを持つことが大切な気がします。そこが私の仕事の信頼を繋ぐものあり、私自身の価値になっていると思います」と語ってくれました。

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そして、野口先生の「弁護士に頼むような争いが起きてしまうのは最終手段で、弁護士に頼まずにやるのが相続アドバイザーの役割」という考え方に習い、揉め事が起きてからではなく、揉め事に発展しないようクッション材のポジションで立ち回ることが伴さんの仕事における醍醐味なのだそうです。

相手の立場に立つことで、様々なことが円滑に

人の心を汲み取る、という点で伴さんがもう一つ心がけているのは「相手の立場に立つ」ということ。高齢者と士業の間に入り、コミュニケーションを円滑にするために士業の用いる難しい言葉をわかりやすく高齢者の方に伝えたり、士業から高齢者の方へ依頼された資料の準備なども伴さんがサポートしたりなど、それぞれの負担やストレスが軽減されるような配慮を欠かさないそうです。

さらに、伴さんは仕事上、司法書士や弁護士などの士業や専門家との密接な関わりがありますが、相続アドバイザー協議会で繋がった方々とやり取りをする際は、何が問題なのか、どんな情報が必要なのかを瞬時にくみ取ってくれる方が多いことから相談もしやすく、また協働の意識も高いため、とてもスムーズに仕事を進めることができるといいます。配慮し合い、問題が生じる前に相談し合える、ギブアンドテイクの関係性も築けているのだとか。

講座での学びやご縁も含め、伴さんのこれまでの経験で培ってきたことや個人事業主としての自由度の高い業務内容、そしてきめ細やかな心配りは、相続の仕事で「強み」や「信頼」に繋がるものとして活かされています。

伴 行恵さん

オフィスBAN(伴行恵社会福祉士事務所) 代表
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大学卒業後、メーカー勤務を経て1996年東海林社会保険事務所を開業。2013年に社会保険労務士法人東海林・旭事務所に変更、代表就任、2017年には同法人 会長に就任。企業の社会労働関連、労務管理、労務トラブル、年金相談をはじめとした多くの案件に携わる。さらに現在も講師、執筆など多岐に活躍中。