廃棄物処理法に関するコンプライアンス対応業務と事業承継・相続に注力して、中小企業の顧問弁護士として活躍している服部毅さん。法律相談に対応するなかで「相続アドバイザー養成講座」を知り、相続に関わる税務などを網羅的に学べるならと、受講されました。その後、同期生で相続に関する本を出版したり、セミナー、相談会を開催したりされています。相続アドバイザーの活用について伺いました。

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税理士の先生とも連携して、相続案件について話をする場合にも、共通の言語で話をすることができ、自信をもって、相続案件に取り組めるようになりました。

服部経営法律事務所 代表
服部毅さん 弁護士(東京弁護士会所属)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
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法律も税金もまずは外に置くという考え方に感銘を受ける

人の役に立てる仕事に就きたいと弁護士を選び、弁護士登録をしてから17年目です。廃棄物処理法に関するコンプライアンス対応に注力する弁護士としてブランディングして、中小企業の顧問弁護士業務や、事業承継や相続案件業務などにも携わっています。

相続アドバイザー協議会の養成講座を知ったのは、法律相談で対応した事案を調べておこうとインターネット検索していたときでした。弁護士業務に従事する中で、相続業務に当たることもあり、相続に関わる税務について詳しく知りたいと思っていたこともあって受講を決めました。

相続アドバイザー養成講座の第23期に、初回の講座を担当されていたのが、相続アドバイザー協議会の当時の理事長・野口賢次先生でした。
野口先生が相続に関わる専門家の心構えを説かれていたことに、強い印象を受けました。「相続には感情が絡むので、過去の出来事が原因で揉めてしまうこともある。まずは、法律も税金もすべてを外に置いて、まっさらな状態で、その相続の本質を理解する必要がある。最も大切なのは、親子・兄弟姉妹の縁を断ち切るような結果にしないこと」という話がとても新鮮でした。

法律の世界では、権利は主張して然るべきと考えます。
弁護士は、依頼者の代理人として、依頼者の利益を最大限に図ることができるよう権利を主張するものという意識が強いのに対して、相続の全体像と心構えはまったく別の視点だったのです。

相続アドバイザー養成講座では、相続を各専門家から網羅的に学ぶことができます。
弁護士が得意とする法律については知識の再確認をすることができ、相続に関わる税法など詳しく把握していなかった知識については、しっかり把握をすることができました。

譲ることで円満な解決になる

相続に関わる案件には、野口先生から学んだ心構えを意識して対応するように心がけています。

弁護士には裁判で闘うという役割もあり、依頼者のために遺留分、相続分を最大限取得することに意識が行きがちですが、その結果が依頼者の幸せにつながるかは別問題であり、大切なのは依頼者の幸せにつながるかを常に問いかけることだと思います。

相続アドバイザー養成講座を受講して、権利の主張ばかりすれば揉めてしまうことが多いとわかっているので、相談者に譲った方がよい場面もあるというアドバイスをするなど、幅広い選択肢を提供できるようになりました。
例えば、相続財産がどのような経緯をたどって形成されたものなのかということも意識することで、どのような解決策を依頼者に提案するのがふさわしいかも見えてきます。

相続で揉めてしまう根幹には感情的な問題があり、こちらが先に譲ることで、あちらの態度も変わることが多くあります。相続を機に、親子・兄弟姉妹が絶縁するような結果にならないようにという教えを常に意識して対応しています。

遺言を残す際には、何を重視して分割するのか、相続税の納税対策や節税対策も踏まえてアドバイスが可能です。税理士の先生とも連携して、相続案件について話をする場合にも、共通の言語で話をすることができ、自信をもって、相続案件に取り組めるようになりました。

受講者有志で相続の本を共著

養成講座の講師も各分野の専門家なら、受講者もバラエティに富んでいました。
不動産業者、生命保険の代理店、各種士業など、相続に関わる際の基本的な知識やノウハウをブラッシュアップしようという意識の高い人達が集まっています。
 
受講後は、23期の有志で、『家族で話すHAPPY相続』という本も出版しました。
交流会を開催したり、一緒に旅行をしたりと仲がよく、各専門家が揃っているので本が出せるとよいのでは、という話が実現したものです。
また、セミナーや相談会などを一緒に開催することもあります。

相続対策は税理士、司法書士に相談、揉めてしまってどうにもならなくなると弁護士と考えるのが一般的なようですが、事前対策の一つである遺言書の作成は、弁護士が、相続税に強い税理士と連携して対応するのが依頼者の利益にとって好ましいと考えています。
事業承継は相続の一分野です。中小企業の経営者のサポートをしていると事業承継の話も出てきます。

遺産分割対策、相続税対策、自社株の引き継ぎと遺留分対策、生命保険の活用、親族外への承継となるM&Aなど、相続を見越した事業承継対策をする必要があり、相続アドバイザー養成講座で得た知識と人脈を役立てて、相続案件に対応しています。

対応事例1:事業承継は相続の一分野

中小企業の経営者のサポートをしていると事業承継の話も出てきます。
遺産分割対策、相続税対策、自社株の引き継ぎと遺留分対策、生命保険の活用、親族外への承継となるM&Aなど、相続を見越した事業承継対策をする必要があり、相続アドバイザー養成講座で得た知識と人脈を役立てて、相続案件に対応しています。

対応事例2:遺言書の作成は弁護士と税理士の連携が好ましい

相続の事前対策の一つである遺言書の作成は、弁護士が、相続税に強い税理士と連携して対応するのが依頼者の利益にとって好ましいと考えています。何を重視して分割するのか、相続税の納税対策や節税対策も踏まえて選択肢を提示し、被相続人の最終的な意思を適正に遺言書とすることが可能だからです。

服部毅さん

服部経営法律事務所 代表
弁護士(東京弁護士会所属) 
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

1978年、愛知県生まれ。上智大学法学部法律学科卒業。2007年、弁護士登録後、企業法務を主に行う法律事務所に所属。2018年3月、プラチナ出版より『新訂・家族で話すHAPPY相続』を共著で発行。2022年6月、服部経営法律事務所を開設。