「地域の不動産業者として生き残るために、高齢化社会の生活支援と相続相談を掲げて活動を始めた」と語るのは、神奈川県厚木市に拠点を置く株式会社プラスホーム代表取締役の能勢健一さん。
能勢さんが関わる相続セミナー・相談会には、この時勢でも30人近い人が集まると言います。
「相続は仕事になるのか?」を聞きました。

株式会社プラスホーム代表取締役の能勢健一さん

相続の仕事が向いているのは、じっくり腰を据えてやる意識のある人、地域のためになりたい、人のためになりたいという想いのある人。

株式会社プラスホーム代表取締役
能勢健一さん
プロフィール »

顧客に寄り添う関係づくりからスタート

能勢さんは、2014年に株式会社プラスホームを創業。
不動産売買も賃貸も大手業者に集中する傾向にあるなかで、高齢化する地域社会の生活支援という視点を持ち、地域に根を張ってきました。
 
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2015年には、不動産の買い取りと老人ホームを紹介する業務を始め、セミナーを開始。
2016年には、相続関連業務に需要があると感じて、不動産コンサルティングマスターの相続対策専門士を取得しました。
そして、2017年には、地域の高齢者などを対象に生活支援を行う「一般社団法人あつぎ高齢者くらしの相談センター」(のちに、「一般社団法人あつぎ相続くらし支援センター」に名称変更)を設立と、年々、着実に地域貢献を進めています。
 
相続アドバイザー協議会のメンバーになったのは、翌2018年。
高齢者の生活支援を行っていると、同時に相続の相談になるケースが多く、相続の知識をもっと深める必要があると感じてのことだったそうです。

相続アドバイザー協議会で「心のケア」の重要性を学ぶ

相続アドバイザー協議会での学びの中で、最も良かったのが「心の相続」、相続では心のケアが大切だと知ったことだと、能勢さん。
相続アドバイザー協議会養成講座43期の同期であり、同じ厚木市在住の須藤盛士さんと知り合い、同じ想いをもって一緒に活動するようになったのも弾みになっていると言います。
 
能勢さんは、須藤さんとともに、「一緒に学ぶ相続のあれこれ」といった6講座1セットで基礎知識を学ぶ相続セミナーを開催し、のちに厚木市市民活動推進補助金交付事業として厚木市の後援を受けるようになりました。
月に1回、半年間の講座で、顔を合わせて基本的な知識を伝えることが人間関係を構築する機会になると、能勢さんは捉えています。
「不動産屋って、あやしい、こわいというイメージを払拭するところから」と。
実際にその後の相談会に繋がるケースが少なからずあるそうです。
 
相続アドバイザー協議会で学んだ相続に関するテクニックはファイルにして、いつも活用しているとのこと。
また、2017年2月には「プラスホームからのおたより」を創刊。月に1回、あえて郵便で発送して、セミナー後の関係維持に活用し、現在では580部を発送しています。

地域の士業メンバーと連携して活動中

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能勢さんは、相続セミナーや相談会を一般社団法人あつぎ相続くらし支援センターの活動として行っています。
セミナーの受講経験者が増えていることで、相談案件は徐々に増加中と順調です。
 
相続問題の解決には、弁護士、税理士、司法書士といった士業の知識も必要になるので、同じ地域の弁護士、税理士、司法書士で相続に関心が高く、相続アドバイザー協議会で学んだ「心の相続」という想いに共感してくれる専門家とチームを組んでいるとのこと。
「機会があれば、士業メンバーにも相続アドバイザー協議会の養成講座を受講してほしいと思っている」と能勢さん。
毎月定例のミーティングを開催し、さまざまな相談の進捗状況を共有、一緒に解決に当たっているそうです。

対応事例1:弁護士・不動産業者・司法書士で連携

相談内容は、60代のお一人様が亡くなり、最期を叔母に当たる女性が看取ったというもの。
女性は自身が相続人に該当すると思い込んでいたそうで、入院費や入院中の世話などもしていたとのことでした。
実際には、親の兄弟は法定相続人に該当しないので、何も手続きをしないと故人の財産は国庫へ入ります。
チームで対策を協議し、弁護士が相続財産の管理人になり、能勢さんが不動産を売却。司法書士が相続登記、相続財産管理人に就任した当弁護士が特別縁故者の申請を行い、遺産が女性にいくように対処しました。

対応事例2:セミナー受講者からの紹介

セミナー参加者Aさんの隣の家で独居の男性が亡くなり、相続が発生。
男性には元妻との間に3人の子どもがいて、子ども3人が相続人となるケースです。
家の様子を見に来た元妻から、話を聞いたAさんが能勢さんを紹介。
司法書士が子ども3人に不動産相続登記を行い、空き家となった不動産を能勢さんが買い取ってお金にしました。
しかし、その後、故人の親戚が故人に多額の借金をして、相続財産を使い込んでいたことが発覚し、この部分については弁護士が介入して解決に当たっています。
 
能勢さんは「相続はやりがいのある仕事」だと言います。
同時に、「相続に不動産は付きものだが、地方の空き家の相談も多く、仕事になるケースとならないケースがある」とも。
換金できれば仕事になりますが、時間や交通費を使って赤字になって終わりというケースもあるということです。
能勢さんは、それも信用の積み重ねと割り切っています。
 
相続の仕事が向いているのは、じっくり腰を据えてやる意識のある人、地域のためになりたい、人のためになりたいという想いのある人と、語ってくれました。

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能勢 健一さん

株式会社プラスホーム 代表取締役
https://plushome.info/

一般社団法人あつぎ相続くらし支援センター 共同代表理事
https://atsukura.com/

新卒で自動車ディーラーに就職して3年在籍。その後、不動産会社に18年勤務し、2014年に独立、株式会社プラスホームを設立する。不動産の売買と相続コンサルティング業務を中心に、不動産相続の専門家として活動している。