証券会社、保険代理店を経てファイナンシャルプランナーとして独立した向藤原寛(むこふじわらひろし)さん。豊富な金融知識をもとに資産管理・運用、確定拠出年金、保険、相続と、広い視野でファインナンシャルプランを提案されています。相続アドバイザー協議会では保険の講座を担当。相続アドバイザーの活用について伺いました。

心を大切に相続の課題を解決しようという意識が高く、人の心を動かす仕事となっているうえに実務レベルが大変高く、これまでの自身の取り組みとのレベル差を強く感じました。

立川FP事務所 代表
向藤原寛さん
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証券会社入社1年目からファイナンシャルプランナー

大学卒業後、証券会社に入社した1年目からファイナンシャルプランナー(FP)を志向。資産家をサポートするために必須の知識として学び、特に相続に関する情報を自分の付加価値として提供しました。
超富裕層を対象とするプライベートバンキング部門の設立にも参加して、証券会社にはトータル25年勤務。その後、保険代理店にも所属しました。経営者を守る事業保険に魅力を感じていたためです。

しかし、会社都合、自らの利益のために商品を販売する立場ではなく、純粋にお客様のためのFPでありたいという思いに立ち返り、2016年1月に「立川FP事務所」を設立、有料相談を基本とした活動を始めました。

大きな組織でないと十分な情報を得られないという時代ではなくなっていたこと、個人事業主として「お客様の一生涯にわたる資金収支をシミュレーションし、夢の実現をサポートするためのライフプラン相談を中心に、必要があれば資産運用をしっかりサポートできるFPは希少価値がある」と気づいたことも独立の動機です。

FPに相続の知識は必須です。
相続を深掘りしておきたいと思っていたときに、FPの勉強会で、相続アドバイザー協議会の現理事長・平井利明さんのセミナーに参加し、人柄に感じるところがあって、相続アドバイザー協議会の講座に興味を持ちました。

相続アドバイザー協議会で各専門家と連携

相続をテーマにする団体はいろいろあるなかで、相続アドバイザー協議会は「相続の重要なポイントは人の幸せ」にあり、その要となる、心を大切にする「心の相続」を理念としています。

証券会社では数百億円規模の資産家にも相続に関するアドバイスを行ってきましたが、実務をしている人の話は聴き応えがありました。

各専門家・士業の方々の実務の話には、思い及んでいなかったこと、マニアックな知識などが多数ありましたし、心を大切に相続の課題を解決しようという意識が高く、人の心を動かす仕事となっているうえに実務レベルが大変高く、これまでの自身の取り組みとのレベル差を強く感じました。

集まってくる受講生も「心の相続」に共感する人が多いことが協議会の価値をさらに上げていると思います。
相続に至る前の対策は知っていても、相続が起きたあとのもろもろの手続きは税理士任せで、本当に家族に必要なサポートができていなかったことに気付き、多数の事例をそれぞれの専門分野の視点で学べたことが大きく、各専門家と連携して確認しながら進める必要があることを改めて認識しました。

金融の専門家として保険の講座を担当

私は現在、金融の専門家として、相続アドバイザー協議会では保険の講座を担当しています。
たとえ遺言書があっても、遺産分割協議に至ることもあります。
保険で対策したつもりが、相続対策には適さない内容で契約しているお客様は数多くあります。保険を勧められて加入していたことで、かえって残された家族が揉めることも多く、家族のことを深く知って相続を前提とした保険を提案する必要があります。

死亡保険金は遺産とは民法上区別され、受取人固有の財産になります。
そのことは、相続との兼ね合いで準備しても不公平感を与えることにもなり得ます。
親としては「不公平になっても実行したい」という思いもあるので、感謝の気持ちや意思を遺言に残すこと、あるいは事前に伝えておくことも大切です。

相続アドバイザーとしては、保険一つをとっても、保険だけを切離して考えるのではなく、全体を考えてアドバイスする必要があります。

どういうリスクをとって、どんな保証保障を付けるのか、家族が揉めることにならないよう対策することで、いざ相続となったときに準備しておいて良かったとなります。

一人ひとりが幸せになることが目的なのはFPと同じです。
相続アドバイザー協議会の同期、寺子屋でご一緒している税理士や司法書士など多くの人に協力してもらってできたこと、できることが広がりました。

相続税を支払って問題がない状態をつくる

相続税を支払う必要があるまで金融資産を増やして、相続税を払い、なお、相続した人たちが幸せを感じられるまでにすることはFPとしての付加価値となります。

遺言を残す側のお客様が求めているのは、こうした状況だと考えて、FPをしています。

地域貢献のボランティア活動として、各種のセミナーを開催しています。
相続アドバイザー協議会の卒業生による勉強会「相続寺子屋」が各地にあり、私は「たま塾」に所属。この会員の皆さんや、他の士業メンバーとともに資産形成・承継研究会を立ち上げ、資産形成セミナー、相続セミナーなどを開催しています。
立川市主催のセミナー、相談会を今後も企画・運営し、相続アドバイザーの皆さんの経験値を上げることに貢献したいと考えています。

保険を扱う人を含めて、相続に関わるすべての専門家が、お客様の資産の大小に関わらず実務経験に基づいた相続の知識を持っておくべきです。実務を学べる相続アドバイザー協議会は、名目だけの資格ではないという点でも最適だと思います。

対応事例1:死亡保険金が相続人に不公平感を与えることも

死亡保険金は遺産とは民法上区別され、受取人固有の財産になります。そのことは、相続との兼ね合いで準備しても不公平感を与えることにもなり得ます。親としては「不公平になっても実行したい」という思いもあるので、感謝の気持ちや意思を遺言に残すこと、あるいは事前に伝えておくことも大切です。

対応事例2:相続税を支払って問題がない状態をつくる

一人ひとりが幸せになることが目的なのはFPも相続アドバイザーも同じです。FPとしては、相続税を支払う必要があるまで金融資産を増やして、相続税を払い、なお、相続した人たちが幸せを感じられるまでにすることが付加価値となります。遺言を残す側のお客様が求めているのは、こうした状況だと考えて、FPをしています。

向藤原寛さん

立川FP事務所 代表
https://www.t-fpj.com/
NPO法人相続アドバイザー協議会® 上級アドバイザー
ファイナンシャルプランナーCFP®
1級ファイナンシャルプランニング技能士

1963年、兵庫県生まれ。証券会社で全国トップレベルの実績を上げ、プライベートバンキング部門の設立に参画したのち、保険代理店に所属。会社都合、自らの利益のために商品を販売する立場ではなく、真にお客様の利益のために寄り添えるファイナンシャルプランナー(FP)として独立。相続対策には十分な金融知識が不可欠と考えている。