千葉県松戸市にある中島誠事務所を引き継ぎ、司法書士として活躍している濱田幸一さん。創業者の中島誠さんが相続アドバイザーであり、「名義変更・相続・測量・遺産整理手続」を行う事務所として知られています。「相続アドバイザー」の活用について伺いました。

新人の司法書士にも、仕事に慣れたら相続アドバイザー協議会の講座受講を勧めたいと思います。視野が広がります。

司法書士濱田・中島事務所 代表
濱田幸一さん
プロフィール »

中島誠事務所で司法書士歴14年

司法書士の資格を取得したのが2003年。試験に合格する前年から、中島誠事務所でお世話になり、今年、事務所を引き継ぎました。創業者の中島先生も引き続き、元気に活躍しておられます。
司法書士が3名、土地家屋調査士が1名、測量士3名に事務スタッフという人員構成で、「名義変更・相続・測量・遺産整理手続」を謳っている事務所です。
中島先生が相続アドバイザー協議会のメンバー(第10期生)だったことから勧められ、私も2012年(第23期)に講座を受講しました。

最も印象に残っているのは、相続アドバイザー協議会の当時の理事長・野口賢次先生の講座でした。揉めてしまっている相続にどういったスタンスで関わっていくのか、親子、兄弟姉妹の縁を細い糸1本でもよいから断絶しないという想いと、こんなにもいろいろなことを考えて臨んでいるのだという姿勢に感銘を受けました。
 
野口先生の姿勢にならって、私も相続で揉めている場合には「弁護士ではないので、代理人にはなれません。皆様のお気持ちをお知らせください。」とお伝えするところから始めるようにしています。

資格によってできること、できないことがあるのが、相続相談に対応する難しさでもあります。

何より、相続の仕事はフタを開けてみないとわからないところに難しさがあり、私の力不足が主な原因ですが、なかなかうまくいかないこともあります。
相続アドバイザーを受講した頃は、司法書士の仕事にも慣れ始めた頃だったので、「お前調子に乗っているぞ!」と釘を刺された思いでした。

相続アドバイザー協議会の講座で、不動産の路線価から相続税を算出していること、生命保険の活用法など、それぞれの専門家の話を聞いて学びました。そんなことすら知らなかったとは、今では恥ずかしい限りですが、その程度の知識しか持っていませんでした。
不動産鑑定士という資格があることも初めて知り、興味が広がり、試験も受けました。2回受けて、2回とも1次試験すら突破できませんでした。国家試験は難しいです。

弊所の新人の司法書士にも、仕事に慣れたら相続アドバイザー協議会の講座受講を勧めたいと思います。視野が広がります。

人間性で仕事をしている先輩たちに続け

弊所の司法書士の業務としては不動産の名義変更などが主軸ですが、中島先生の長年の功績のおかげで相続の相談ができる事務所として知られているので、徐々に携わるようになっています。

相続案件の対応は基本一人で行い、相続税申告が必要な場合は、税理士の先生と連携し、不動産の売却前提の案件は、不動産業者さんをご紹介し、より円滑に売却していただけるよう心がけて取り組んでおります。

手がかかるのは、相続人にまったく連絡がつかない人がいる場合です。
住民票のあるところを実際に訪ねてみてもいない、所在不明というケースもあります。

相続人が外国籍の方というケースもありました。日本人のご主人様が亡くなり、外国籍の奥様が相続人で日本に戸籍が存在しないという状況でした。大使館で相続手続きに必要な書面を交付していただき、手続きを行いました。

野口先生も、中島先生も人間性で仕事をしていると感じています。
先輩たちを見習って、人間性を磨いていく必要がありますが、こればかりは一朝一夕には成りません。

相談者はそれぞれ悩みや問題を抱えているので、まずは傾聴です。
「お客様がどうしたいのか?」に気付けるよう、ご相談時にはできる限り「聴く側に」なるよう心がけています。本質をスパッと見抜ければ良いのですが、私にはそのような能力はないので、なるべく多くの時間を「聴く」ことに割いています。
お客様も他人に話すことにより、頭が整理され、モヤモヤが晴れることもあります。

相続は様々な問題が絡み合います。
自分の業務の範囲のみで相続の仕事に携わると、自分の業務(私の場合ですと登記)を基準にものごとを考えてしまいがちです。
実際の相続には、被相続人の方のそれまでの人生模様(親子、兄弟姉妹、親族間等)を踏まえた上でさまざまなものが感情を含めて絡み合います。
アドバイザー協議会では、相続業務に携わるたくさんの方がそれぞれの視点で専門的な講義をしてくださるので、いつもとは違った「視点」を気付くことができます。
皆様も違う「視点」で業務に取り組むと、本当に勉強不足、努力不足を感じるのではないかと思います。

理想は、相続人全員が笑顔になること。相続人の間に入る必要がないことが一番です(仕事としては成り立たないとこが悲しいことですが…笑)。
紛糾してしまえば、弁護士の先生を紹介し、法律論で解釈するしかなくなり、家族の縁は切れてしまいます。

まだまだ諸先輩方には遠く及びませんが、常に奢らず、謙虚な気持ちと感謝の心を忘れず精進してまいります。

対応事例1:相続人が外国籍というケースを担当

相続人が外国籍の方というケースもありました。日本人のご主人様が亡くなり、外国籍の奥様が相続人であり、日本に戸籍が存在しないため、大使館で相続手続きに必要な書面を交付していただき、手続きを行いました。相続を扱っていると、さまざまな知識を必要とします。このときも一つひとつ解決する必要がありました。

対応事例2:先輩の相続アドバイザーを見習い、傾聴を重視

相談者はそれぞれ悩みや問題を抱えているので、まずは傾聴です。
「お客様がどうしたいのか?」に気付けるよう、ご相談時にはできる限り「聴く側に」なるよう心がけています。本質をスパッと見抜ければ良いのですが、私にはそのような能力はないので、なるべく多くの時間を「聴く」ことに割いています。

濱田幸一さん

司法書士濱田・中島事務所 代表

1983年、千葉県生まれ。獨協大学法学部在学中から司法書士を目指す。2008年、司法書士資格取得。2007年より在籍している中島誠事務所を2023年承継。相続実務10年以上の経験を持つ。