私が相続の仕事に就いたのは平成6年です。この時代は遺産分割協議で揉めてしまう相続が少なくありませんでした。が、ここ近年は分割協議で揉めることは減ってきています。
旧家や資産家は別にして、一般的には相続は法律通り(法定相続分)との考えが定着しつつあること、加え相続人の数が少なくなってきたことに原因があるような気がします。
以下は最近扱った相続案件10件の相続人の数の内訳です。
- 相続人が1人…4件、②相続人が2人…3件、③相続人が3人…
2件、④相続人が15人…1件。
☆相続人が1人⇒10件のなか40%も占めています。そのほとんどは一人っ子です。親より先に他の兄弟姉妹が亡くなり、代襲者がいなければ、子は1人なんてこともあります。相続人がお一人様なら分割協議は不要です。余計な神経と気は使わなくて済みます。
税理士と司法書士をコーディネートし、相続税の申告、不動産の相続登記、銀行等の預貯金の解約など、ひとつずつ手続きを進めていけばいい話です。こんな楽な相続案件はありません。
☆相続人が2人⇒相続人の意見は2通りしかありません。同じ意見なら問題はありません。もし意見や考えが違ったら、どちらかに少し譲ってもらうことができるかがポイントになります。
☆相続人が3人⇒配偶者(母親)がいるか、いないかで状況は変わってきます。母親は大きな説得力があります。子ども達も従わざるを得ないでしょう。配偶者がすでに他界し、子が3人の場合でも、多数決ができる数なので何とかまとまります。
子が親より先に亡くなっていたら代襲者がいます。良好な関係を保っているオイやメイならば伯父さんや伯母さんには逆らいません。それなりの代償金で納得してくれます。が、代襲者が疎遠の場合、なかには「自分の権利は当然だ」と、1円たりとも譲らず真っ向から権利を主張してくる強者もいます。
☆相続人15人⇒第3相続順位のレアーケースです。本来もらえない「棚ボタ財産」です。故人を世話した人や面倒をみた人がいなければ均分が公平です。何人いようが法定相続分でほぼ決まります。
少子化の話になります。団塊の世代が「後期高齢者」となる時代に入りました。理想の人口構成はピラミッド型です。下にいる現役で元気印の多くの人達が、上の三角部分にいる高齢者を支える。
ところが今の日本は少子化です。このままでは将来は逆ピラミッドになってしまいます。100歳時代をむかえ、高齢者は増え続けています。はたして子が支えられるでしょうか。
遅まきながら国も子育て支援等の少子化対策を打ち出しています。しかし少子化は単なる経済問題ではなく、もっと奥深いところに根本的原因があるような気がします。相続人の数が減り相続は楽になりました。が、少子化は国の根幹を揺るがす大問題です。