カテゴリー : 野口レポート

 相続「野口塾」を立ち上げたのは平成13年でした。最初は、内藤 雄さん、西川博章さん、中條 尚さん、私と息子を含め5人でのスタートでした。奇しくも5人のイニシャルはNでした。

当時は現在のようなセミナールームもなく、狭い事務所に机をならべての寺子屋状態でした。私が学んだ専門学校の相続実務テキストを使っての勉強でした。教える方も教わる方も真剣です。

勉強が終わったあとは、近くのそば屋で一杯飲みながら相続を熱く語りあったのが、なつかしく思い出されます。

このような塾を立ち上げたきっかけは、何とも肌寒い相続の現状を目のあたりにしたからです。 ◎借金をして賃貸物件を建てることが最善の相続対策であると思い込んでいる人 ◎税理士の選択を誤り不適切な土地評価で相続税を払い過ぎてしまう人 ◎簡単にできた法務対策を怠ってしまい、何倍もの苦労を強いられている人 ◎相続を争族にしてしまい兄弟の縁を切ってしまう人、本来は幸せになるべき相続で不幸になってしまう人のなんと多いことか。

 相続はほとんどの人が初めて経験します。素人にはどこへ行ったらよいのか、誰に相談すればよいのか、右も左もわかりません。そういう人に自分が行ってお手伝いをしたい。が、身体はひとつしかない、そんな時ひらめきがありました。

 そうだ! 自分が学んできたもの、経験してきたもの、心の在り方など全てを伝え、自分の分身をつくろう、その人たちが相続で困っている人たちを助けてくれる。さらにまた人を育ててくれる。そんな想いが野口塾立ち上げの根源となりました。

 立ち上げから21年が過ぎ、現在では、税理士3人、弁護士5人、司法書士7人、不動産鑑定士1人、不動産コンサルタント2人、行政書士3人、土地家屋調査士2人、社会保険労務士2人、中小企業診断士1人、社会福祉士3人、精神保健福祉士2人、介護支援専門員1人、老人ホーム役員1人、総勢30人を超える塾生を擁する相続実務家集団へと進化しました。

 専門知識だけでなく、資格に見合った人格の形成を目指し共に学び共に教えています。気心の知れた塾生は最強のネットワークです。

 資格で飯が食える時代は終わりました。法律や金銭に人の心が複雑に絡んでくる相続は、知識や技術だけではできません。相続人の心をコンサルティングできる高い人格が求められます。

 野口塾で切磋琢磨し、技と心を磨いた塾生が相続人の精神的利益をも守ることのできる真の実務家として、相続で不幸になってしまう人を1人でも減らし、誰からも尊敬される人間に成長してくれたなら、塾長としてうれしいかぎりです。

 コロナ禍で休会し、3年になってしまいました。学んだあとの懇親会も、情報交換やコミュニケーションの場として実に有意義で楽しい時間です。早く再開できることを待ち望んでいます。