あとはひたすら連絡を待つだけです。いくら待ってもこないこともあります。有り難いことに2日後に連絡がきました。
手紙が功を奏し、相手に警戒心はありませんでした。疎遠の相続人から連絡がきたら半分成功したようなものです。
改めて現在までの状況を正確かつ丁寧に伝えます。話しているうちにお互いの人柄は何となく分かってきます。
Cさんから銀行の貸金庫のカードが出てきたと連絡がありました。貸金庫を開扉し保管物を確かめる必要があります。開扉には相続人全員の立ち合いが求められます。岩手の相続人は高齢なので上京できません。姪はコロナ禍を理由に立ち会いを断ってきました。
全員の委任状をとりつけBさん親子に上京いただき、銀行員の立ち合いのもと貸金庫を開扉してもらいました。
危惧していたのは自筆証書遺言が保管されているかどうかです。もし遺言が出てきたら状況は一変してしまいます。
保管されていたのは現金で遺言はありませんでした。残高証明も揃い貸金庫も確認し、これで相続財産が確定しました。
遺産が相続税基礎控除を超えているのでパートナーの税理士に集めた資料を渡し、相続税申告の準備を指示しました。ちなみに兄弟姉妹の相続は相続税が2割加算されます。
相続税申告の前にまだやることはあります。公正証書遺言の検索です。Bさんに委任状をもらい、川崎公証役場に行き公正証書遺言(平成以降の遺言のみ可能)があるか検索をかけてもらいました。
岩手で作ろうが九州で作ろうが公正証書遺言の有無は、全国どこの公証役場からでも検索できます。公正証書遺言はありませんでした。無かったとの証明書をもらい、Bさんに報告します。
ここを手抜きして、遺産分割が終了した後に、公正証書遺言が出てきたら目もあてられません。
以前扱った相続案件で検索したら3通の公正証書遺言があることが分かりました。作成した公証役場と公証人、作成した日付が出てきます。再発行は作成した公証役場でなければできません。複数の遺言があったら日付の新しいものが有効となります。
この3通の遺言の他に1通の自筆証書遺言が出てきました。家庭裁判所の検認(証拠保全作業)が必要です。遺言を預かると検認に立ち会うことができます。相続人全員に家裁から出頭要請(欠席可)がありますが立ち会ったのは私一人だけでした。
3通の公正証書遺言とは内容の違うものでした。が、一番新しい日付なのでこの自筆証書遺言が有効です。自筆証書遺言は検認証明書を取得し初めて相続手続きが可能となります。
Aさんの相続もいよいよ大詰めの遺産分割協議です。こればかりは、どうなるか実際にやってみなければ分かりません。
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