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『相続税の「隠れ大増税」』
措置法39条(取得費加算)改正と物納戦略
~「土地を売って納税すれば大丈夫」の落とし穴~
講師/斎藤紀明 氏 ㈱社国土工営(SA協議会 常務理事)

物納のポイント二つ。
〇一つ目 「金銭納付困難とする理由」
申告書を元に解説しました。
納税額から相続した預貯金、相続人自身の預貯金を引きます。
そこから、延納によって納付出来る金額を引いたものが物納可能額です。

延納の支払に充当できる金額≒相続人の収入-支出
この支出の内、生活費がポイントになります。
ここを、いかに細かく、こつこつと積み重ねるか。
作文は出来ませんので根拠が必要です。
毎年つけている家計簿は根拠になるようです。
(物納のためその年だけの家計簿はダメ)

相続税を支払う人はそれなりの付き合いがありますから支出も結構あります。
丹念に積み重ね支出を増やした結果、物納が可能になることがあるそうです。
あきらめずにトライすることが大切です。

〇二つ目 「物納適格財産」
物納には順位があります。
不動産は物納に充てることが出来る財産の中の第一順位です。
そして不動産の中でも順位があります。
➀物納適格財産。
➁物納劣後財産です。
➀が無い場合や管理処分不適格財産の場合➁が物納出来ます。

管理処分不適格財産とは
・担保が設定されている。
・境界が明らかでない。
・等々
物納劣後財産とは
・地上権が設定されている土地。
(普通借地権の底地は劣後財産ではありません)
・建築基準法の道路に2m接していない土地。
・市街化区域以外の土地。
(調整区域も物納適格財産がなければ物納出来る)

来年度から相続税の取得費加算が厳しくなり、相続した不動産を売却したときの譲渡所得税の負担が重くなります。
そこで、浮上するのが物納です。
「物納は改正後は条件が厳しいから出来ない」
と納税の選択肢から外してはいけないこを学びました。

物納が出来るケースは結構ありそうです。
貴重なお話ありがとうございます。