カテゴリー : 相続アドバイザー養成講座

4月11日相続アドバイザー養成講座の第2講座が行なわれました。

題目は「相続人の確定と戸籍、登記簿の読み方」です。
講師は田中康雅氏(司法書士)です。

佐藤健一氏(SA協議会理事)の感想です。

田中先生の専門分野であり、相続という視点からしてもとても重要な「戸籍」「不動産登記簿」の見方の講義です。
 相続開始後、まず行わなければならないことは「相続人の確定」です。一部の相続人を欠いた場合や誤った相続人間で行われた遺産分割は無効となります。相続は最終的には財産の名義変更の各手続きですが、逆進的にスケジューリングすると、10ヶ月以内に相続税の申告及び納税をしなければならない。そのためには遺産分割協議が調っていなければならない。そのためには、遺言の有無及び執行するかしないか、3ヶ月以内に相続放棄などの判断をしなければなしません。そのために、早い段階で確実な相続人の確定が必須となります。
 
 相続人の確定に当たっては、図や事例を踏まえながら、次のようなポイントでまとめられました。
1.被相続人は誰か?→被相続人の国籍によって相続人が違います。
2.被相続人はいつ亡くなったか?→相続は相続開始時点の法律を適用します。
3.推定相続人が先に亡くなっていた場合は?→代襲相続を検討しなければなりません。
4.推定相続人は本当に相続人か?→相続放棄・相続欠格・排除は相続人ではありません。
5.相続開始後に相続人が亡くなっていた場合は?→相続人の相続人が参加します。
 お客様に「相続人は誰ですか?」とヒヤリングするだけではアドバイザーとして不十分、「戸籍」によって相続人を確定させなければなりません。

 次は「戸籍の見方」です。日頃、読みづらいことこの上ないと感じている戸籍ですが、講義では歴史的背景を踏まえた新戸籍の編制原因や除籍を分かりやすくお話しいただき、実際の戸籍見本を確認しながらの相続人確定の作業と、被相続人の人生を遡るような感覚で相続関係図ができあがっていきました。

 後半は、「不動産登記簿」の見方です。相続の開始によって、不動産の登記名義を変更する。そこまでに至る不動産の特定、遺言の有無及び有効性の確認から執行の判断まで、登記手続きを見据えた遺言の文言、相続後の不動産利用や売却を前提とした遺産分割協議書の作成や文言の工夫など、各場面での注意点が満載です。いずれも田中先生の実体験に裏付けされたものです。
 また、相続に関わる各場面が、どのように「不動産登記簿」に記載されるかを、20以上もの登記簿見本からご説明いただきました。その一例になりますが、登記原因「相続」と記載されている登記簿ひとつとっても、その背景には次のような可能性があり、それぞれに検討すべきことがある。
1.遺言による相続登記→遺留分減殺請求があるかも
2.法定相続登記→遺産分割があったのか、相続放棄や限定承認があるかも
3.法定相続登記がない場合の遺産分割による登記→現物・代償・換価分割か

 今回は「人」「不動産」のルーツを探る話です。戸籍謄本も不動産登記簿も決して見慣れない書類ではありませんが、今回の講義を聴き、その読み込みの深さ、歴史や背景の探り方にプロとの差を痛感しました。生半可な知識でアドバイスすることの“取り返しのつかない怖さ”を感じる部分も正直ありました。
 その上で、相続アドバイザーにとって重要なことのお話しがとても印象に残りました。まずは、専門家になる。でも、それが難しいのなら専門家とのネットワークを構築し、活用する。「お客様のためにネットワークを活用する」、これはこの後のいろいろな講義を通じてより深く感じることと思います。