カテゴリー : 野口レポート

横浜の「野毛大道芸」にコンサルティングの原点を見ました。大道芸人の見事な技は、見ている人の心をつかみ帽子に入る投げ銭は芸人の実力に比例します。
労務に対する報酬はお金をいただくというより、この人には払わねばと思ってもらえる仕事をすることです。
 
◎6人の兄弟姉妹がいます。二女は独身で公務員です。定年まであと3ケ月というところで持病が悪化し急逝してしまいました。
独身で子どもがいません、両親はすでに他界しており、第3相続順位の相続です。5人の兄弟姉妹が相続人になります。
代表相続人の長男は、二女が所有し住んでいたマンションの売却を含め、遺産整理と相続手続きをワンストップでやってくれるところを探していました。縁あって私が引き受けることになりました。
 
このような相続は、同居者がいないこと、しかも急逝であること、どこに何があるのか相続人にはさっぱり分かりません。
長男と長女の立ち会いのもと、引き出しや棚の書類を全部出し、ひとつひとつチェックします。通帳、権利証、保険証券、契約書など保管しておくもの、捨てていいものを分けていきます。雑ファイルに旧郵便局の定期貯金の証書が無造作に挟んでありました。念のため、ゆうちょ銀行に照会したらいきていました。
 
次は不要の遺品を遺品整理業者に依頼し処分してもらいます。団体信用生命と住宅ローン残債の相殺、火災保険の解約、管理組合の脱退など、マンション売却に向け処理をしていきます。物件は駅徒歩1分の好立地にあり、買い手はすぐ見つかりました。
 
遺産分割も円満かつ円滑に進み、あとは預貯金等の解約引き下ろしです。金融機関を長男と一緒に回り手続きも終わりました。
最後に残ったのは、二女が可愛がっていたペットの猫をどうするかです。故人にとっては大切な家族です。そまつには扱えません。親戚と交渉し引き取ってくださるとのことで安心しました。
 
相続税申告はパートナーの税理士に依頼しました。第3順位なので相続人が5人おり、相続税基礎控除が膨らみ、生命保険受取金や死亡退職金も非課税のなかにおさまり、相続税は2割加算されましたが余裕をもって一括払いで納付できました。
全ての遺産整理と相続手続きが終わり、相続人全員から「ありがとうございます」とお礼を言われました。
 
仕事が終わり報酬を請求させていただきました。ところが請求した額より多くの金額が振り込まれてきました。
すぐに電話を入れました、「金額が違っています。」長男から返ってきた言葉は「私たちの気持ちです。」でした。

報酬はいただくというよりも、この人には払わねばと思ってもらえる仕事をすることです。相手のために良き仕事をすればお金は後からついてくる、実践し実感した相続案件でした。