カテゴリー : 野口レポート

塾長を務めている野口塾には3つの集団があります。そのひとつが早朝勉強会です。塾生は、税理士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・一級建築士・生保FP・不動産業・介護支援業など、相続に情熱を持った人が集っています。
毎月1回定例で朝7:00から8:00まで、主に実例を中心に野口流相続コンサルティングの「技と心」を伝えています。真冬など薄暗い時間ですが、塾生の志は高く休む人はいません。
このなかに9人の女性がいます。その一人である不動産業者のMさんから、「相談を受けている相続案件が自分の手には負えないので一緒にやってほしい」と頼まれました。
このお客様の遺産の構成はほとんどが不動産です。不動産をどう扱い、どう動かすかがこの相続案件のポイントとなります。一定レベルの相続知識を持ち、依頼者の利益を優先できる人格があれば、不動産業者が相続コーディネーターとして最適です。
相続コーディネーターは不動産業者のMさんとし、同じ塾生である、税理士のEさん、司法書士のNさん、土地家屋調査士(測量)のKさんで、チーム(全員女性)を組みました。私はこのチームに「相続なでしこ」と名前をつけ、監督を引き受けました。

舞台(相続)の前に座れば役者の顔は見えても流れは見えません。後ろに座れば流れは見えても顔は見えません。「顔も見えるし、流れも見える」そんな席から舞台を見ることが必要です。
相続人Aさん(依頼者で家とお墓を守る人)の話を十分傾聴し、他の相続人の心の情況をつかみながら方向を決めていきます。
権利を主張する相続人と、Aさんの立場を理解し譲ってくれる相続人に分かれました。後者から相続分の譲渡を受け、Aさんの相続分を増やし、後はAさんと前者の相続人で遺産分割の話し合いをしていただくことにしました。
監督としては、方向がズレないようにコントロールすること、Mさんと遺産分割協議の進行役(行司役は不可)をすること、後は一定の距離をおき「なでしこ」を見守ることにしました。
Aさんが全ての不動産を相続し、一部の不動産を売却し、前者の相続人に代償金として払うことになり、最後は想定していた落としどころへ軟着陸しました。
Mさんは、不動産業に染まっていない不動産業者です。立ち位置を意識し、見事に相続コーディネートをやり遂げてくれました。
野口監督の下、全員がほどよい緊張感と、女性ならではの細やかさを見せ、自分の仕事をきっちりこなしてくれました。
大きな案件が終了した時は、反省会と打ち上げをおこない、メンバーの労をねぎらいます。仕事をやり遂げた充実感と、4人の「なでしこ」に囲まれ、久々に美味しいお酒を飲みました。